中国・広州に行ってきた::日本出発編

2016年10月2日〜4日にかけてCICF EXPO(中国国际漫画节)目当てに中国は広東省にある広州に行ってきたので、日本からの移動や市内の様子についてここに書き残しておくことにする。どこからかここに流れ着いた人には何かの参考になれば幸いである(ただし、内容については間違い等あるかもしれないので、参考にするのは自己責任とし、また、執筆者は誤った点を修正する義務も負わないものとします)。

なお、3日に参加したCICF EXPOの様子については「CICF EXPO 2016に行ってきた」に独立した記事として執筆している。

10月2日

この日、日本を発った。今回は中国南方航空の東京国際空港(羽田)発・広州白雲国際空港直行便を利用。どうでもいいけど空港の名前に「白雲」と付くところが、なんだか中国有数の古都を思わせるネーミングでいい感じだ。

2015年に開設された羽田(IATA空港コード:HND)⇔広州(IATA空港コード:CAN)の直行便は毎日3往復あり、それぞれ全日空・日本航空・中国南方航空が運航している。

行程

今回は以下の行程となった。

HND 10:45 → CAN 14:35 (CZ3086便)

※時間は現地時間。合計所要時間4時間50分。

往復の運賃は28,870円。出発日の半月ほど前に某格安航空券検索サイトで予約したが、日曜出発便とは言え、都心部に住む自分には便利な羽田発で面倒な乗り継ぎがない直行便、かつ機内食も提供されるFSCでこの料金はかなり安い。東海道新幹線ののぞみで東京・新大阪を往復してもこのぐらいの料金がかかるし食べ物出ないし…。

ちなみに普段自分は飛行機なんて全然乗らないのでマイルとか全然興味ないのだが、中国南方航空が参加するアライアンスはスカイチームとなっている。

羽田空港国際線旅客ターミナル

東京モノレール・羽田空港国際線ビル駅下車にて到着。浜松町駅側からの列車を降りてすぐが出発ロビーとなり、迷わず行ける。

中国南方航空のカウンターがあるのはH列カウンター内。今回はパスポート情報を中国南方航空側に事前通知していなかったためオンラインのチェックインが使用できず、また、カウンター近くに自動チェックイン機らしきものはあったものの荷物預け入れ専用の窓口はなさそうだったので、有人のカウンターでチェックイン・受託手荷物の預け入れを行うこととした。

カウンターはもちろん日本語対応可能で、中国語も英語もろくにできない私でも意思の疎通はストレスなく可能。といっても複雑なやりとりはなく、パスポートと航空券を予約したサイトの旅程表をプリントした紙を見せるだけでOK。ちなみに3日間とごく短期間の滞在のためビザは不要だった。

ただしここで注意したい点は、カウンターでも口頭での確認があるが、最近の国際的な慣例に則り受託手荷物にリチウムイオン電池(それらを内蔵するノートPCやスマートフォン、タブレット端末などを含む)を含んではいけないこと。もしそれらが荷物に含まれる場合は機内持ち込み手荷物として携行する必要がある。

カウンターでの手続きが済み、無事航空券の受け取りを完了。出発まで余裕があるのでターミナル内をぶらぶら。和風を全面に押し出した売店・飲食店エリアや、各国の航空会社の機材が眺められる展望デッキなどがあるが、本筋とは関係ないのでここでは割愛。

出国手続きエリアを入り、手荷物検査場から出国審査まで通過すると、免税店やラウンジが立ち並ぶ出国エリアに。とりあえず今回の便が使用する135番ゲートに向かってみたら1階部分。どうも中国南方航空はボーディングブリッジは使用せず、基本的にランプバスによる移動とタラップによる搭乗となる模様。自分は別にこういうところで空港の設備使用料などの余計なコストをかける必要はないと考えているので全く問題はない。

時間になり、ランプバスへの乗車開始。バスは羽田空港でお馴染みの東京空港交通が担当(車体は日野製っぽかったけどランプバスのような特殊用途向けのバスは詳しくないので…)。そして駐機している中国南方航空機(今回の機材はボーイング737-700)へ搭乗。

タラップを昇り(やはりこの時の高揚感と言ったらたまらない)、割り当てられた座席へ。エコノミークラスは737型機では標準的と言える3+3配列。シートピッチも標準クラスといったところ。

さて、この時機内持ち込み手荷物となっているザックから暇つぶし用の本やデジカメと合わせ、同時に持ってきた初代iPad miniも取り出して座席ポケットに入れておく。これは飛行中の機内でのスマートフォン操作は禁止という中国のローカルルール(?)対策である。このため搭乗後に、どうせ使えないからスマホは電源切っておいてね、といった旨のアナウンスがある。

しかしスマホは禁止であるものの、タブレット端末は携帯回線接続機能搭載の有無に関わらず機内モードに設定しておけば飛行中の使用に制限は無い。そのため、音楽やゲームを楽しむ場合、iPhoneは使用せずにこのiPad miniを使うようにした。飛行機で中国に渡る際はぜひとも気をつけたいポイントのひとつだ。

離陸

ターミナルから離れた後、15分くらいかけてD滑走路までタキシングし無事離陸。窓からは瀬戸内海や九州が見えたので、本州に沿って西に移動していることが分かる。日本列島を離れるとしばらく海が続くが、だんだん大型の貨物船がぽつぽつ見えるようになり、やがて上海の街が見えてきた。中国大陸に入った後はここから南下し広州を目指すようだ。

さて、その間に出てきたもの2点。まずは機内食。

機内食の主食は魚とポークから選べたのでポークを選択(なお、事前に連絡する事で体質や宗教上の理由により食材を制限した特別機内食も利用可能。多様な要望に沿えるように非常に細かく選択可能で好感が持てる)。そしてラップ類を取り外した時の様子がこれ(残念な写りですが…)。

国内発の便のため日本国内での調理品と思われるが、私の口にもあって美味しかった。海外に出かけるという非日常感を演出するためにも美味しい機内食が出てくるのは重要な演出だと思ってるのでありがたい(笑)。

そして入出国カード。

これは外国人が中国への入国・中国からの出国時に入出国審査官に提出するもの。配られたカードは入国カードと出国カードが一体となり、ミシン目で切り離されるようになっている。飛行機到着後は入国カードのみが必要だが、忘れないようにここで入国・出国両方のカードに記入しておいた。ちなみに飛行機内で受け取らなかったり無くしたりしても入国審査場に備えてあるので大丈夫。

記載する内容は名前やパスポート番号、利用便名など。他には中国滞在中の宿泊先を記載する項目があるので予約したホテル名を記入しておく。中国では外国人が宿泊可能なホテルが指定されており、基本的にはそのホテルを利用するようだ。友人宅などの場合はその住所、ネットカフェや野宿(?)など決まった場所がない場合は、警察への連絡が必要らしい…。もし節約のために普通のホテルを利用しない場合は注意が必要かもしれない。

余談ではあるが、一部で言われているような本キャリアの乗客マナーの悪さなどは全く目につかなかった。機内は全然騒がしくないし、大半の時間はみな大人しく着席して過ごしていた。中国南方航空は旅行ツアーなどで使用されることはなく、必然的に常連利用者の中国人やビジネス客、旅慣れした人が中心になるようだが、国慶節の真っ只中で中国に戻って来るような人たちについついテンションが上がってしまうような観光客はあまりいないのだろうか?

広州白雲国際空港

到着時刻が近くなると飛行機の高度が下がり、徐々に市街地が目に迫ってくるようになった。まず驚くのが高層マンションが至る所に林立している事。東京で例えれば、リバーシティ21の10倍くらいの団地群が、視野の範囲に100箇所くらい見える感じ。本当に中国の発展度合いはすごい。

着陸態勢に入り、広州の市街地が見えてくるとさらにすごいのだが、その時点では電子機器類は使うことができないため画像が無いのが残念。

そうしているうちに無事に着陸。出国時と同様、タラップとランプバスを使用してのターミナルへの移動となった。現地の気候はギンギンに暑いわけでもなく、過ごしやすい感じ。入国審査と受託手荷物の受け取りも無事に終わり、早速広州市内への移動を開始する。

この広州白雲国際空港、なんとも便利なことに空港の真下に市街地に通じる地下鉄の駅がある。海外の辺鄙なところにある空港ではバスやタクシーでの移動が一般的なところも多いが、バスは乗車方法や行き先で不安になるし、タクシーは意思疎通や金銭トラブルなどの不安もある。でも地下鉄ならそんな心配は無用。なんとも海外初心者には優しい空港でありがたい。

空港内では「地铁」(中国語の簡体字で地下鉄の意味)の案内に従って地下に向かっていけばよく、ほとんど迷わなかった。

そして広州白雲国際空港の下に位置する机场南駅(「机场」は空港の意)の改札前に到着。

きっぷ(と言っても広州の地下鉄は全て電子化されているのでトークンと呼ばれるICチップだが)の自動券売機はあるものの、この日はいろいろ市内を移動する予定なので改札機中央部に位置する有人カウンターの行列に並び、20元の1日乗車券(正確には24時間券。初回利用時からカウントされる)を購入。さすがに国際空港なだけあってか、英語で「One day pass!」と言ったらちゃんと通じてくれた(笑)。

無事に1日乗車券を受け取り後、改札待ちの行列へ。ちなみにここでも金属探知機による検査が実施されている。ただ、それほどきっちりやってる感じでもないので、一応の心理的な抑止力としてやってる感じを見せてるといったところか。

ホームに到着。ホームドアも整備され未来的。その後気付いたのだが、自分で見た範囲内ではホームドア化率は100%だった。めちゃくちゃ人が多い上に乗降マナーもいまいち、そして狭い部分もある広州の地下鉄を考えれば必須の装備なのかも。

数分ほど待っただろうか。列車が到着し早速乗車。かぶりつこうと先頭車両に乗ったけど、なぜかこちらの車両だけはガラガラ(次の駅でがっつり人が乗ってきたが)。ちなみに運転席後ろは小さな窓が1箇所はめられているだけで前方の光景がよく見えず、かぶりつくのは諦めました…。

日本の一般的な地下鉄と比べても、座面が金属、つり革は中央部に一列、網棚なしなどの違いを中心にいろいろと目を奪われてしまう。車内に掲示された注意書きひとつ取っても、走るの禁止、C寝台行為禁止、ぶら下がるの禁止などの事項が明文化されているのが興味深い。

ちなみに机场南駅のある地下鉄3号線は何と最高時速120km/hの運転速度を誇るらしい。駅間距離は長く、それなりの速度は出ていると思われるが、残念ながら地下ゆえあまり実感はなかった(笑)。

ちなみに3号線はY字型の路線となっており、机场南駅に延びる線が途中から拡張され支線扱いとなっているらしい。そのため結節点となる体育西路駅止まりとなるようだ。

(停車駅の案内はこういう丸ノ内線のクラシック車両風のものが外国人にはわかりやすいな。他の路線ではLEDなところもあったけど、しばらく眺め続けないと次の駅がどこか分からないし、駅が分かったあとに別の場所に掲示してある路線図から探したりしないといけないし…)

目的地は、宿泊先ホテルのある8号線のある琶州駅。そのため、体育西路駅で番禺广场駅方面行きに乗り換え、さらに客村駅で8号線に乗り換えとなる。国慶節に入った広州はとにかく人が多い!乗り換え駅でのコンコース内の移動や、乗り換え後に乗車した車両など、とにかく混雑して大変だった。写真は客村駅の8号線ホームの様子。

ちなみにエレベータの状況だが、日本のように片側を空けるということはしない。みな2列になって乗る。そして速度が速い。東京の地下鉄で朝の時間帯に運行される高速エレベータかそれ以上の速度。荷物が多かったり重かったりすると大変かも…。

そして琶州駅に到着。この時点でCICF EXPO2日目がそろそろ終わることということで、駅の中はソレな紙袋やソレな服装の人たちで溢れかえってる。一気に気分が上がっていくが、今日は会場の場所の確認だけの予定なのでひとまず落ち着いて地上へ出てみる。

どうやら右側の大きな建物が会場となる保利世博展览中心のようだ。入り口の巨大な構造物が目を引くが、どうやらこの一帯は数多くの展示場が立ち並ぶ場所らしい。左側の建物には巨大な家具屋が。有明で言えば、さしずめ大塚家具といったところか(笑)。

こちらの地下に潜ってしばらく彷徨っていると会場に向かう通路への入り口らしきものを発見。

ここを進んでいくと3階にあるチケット売り場につながる通路があった。近くにスタッフがいたので聞いて見たけど、今日の最終入場は終わったらしく、また、前日の前売りはないとのこと。もちろん今日の入場も明日のチケット事前購入も、もしできればといったところだったので想定の範囲内。

とりあえず入り口を後にして会場周辺を散策。屋外はコスプレ広場状態になっていて多数のコスプレイヤーと撮影者が。

コスプレは(当然ながら?)日本のアニメやゲーム、漫画作品ばかりだったが、とにかくコスプレのレベルは高かった。衣装もすごいし、コスプレイヤーのキャラ作りもすごい。撮影者の機材も三脚や多灯は当たり前。正直コスプレについては対して期待はしていなかったのでびっくりした。もうこれだけで中国のファンたちは熱心なことが分かって少し嬉しくなった。

おっと、重い荷物を持ちながらぶらぶらしていても疲れる。ということで滞在中に利用するホテル「eStay Residence」に向かう。しかしこの宿、場所が非常にわかりづらかった。今回はCICF EXPOだけが目的で来ているので会場すぐ隣にあるこのホテルを予約したのだが全然それらしきものが見当たらない。会場周辺をくまなく歩き続けたがホテルを示すような看板はなし。仕方なく保利世博展览中心の案内に聞いたところようやく場所が判明。この写真奥の白い建物だが、表には「D座」としか書いてなく、展示場の一施設にしか見えない。

本当にここかと思いながら入ると、こじんまりとした受付が。ここも何らホテルを示すような掲示はなく、恐る恐る聞いて見たらこれがフロントだった。ほっと一安心して部屋の鍵(非接触ICカード)を受け取る。しかし確かに分かりづらいが保利世博展览中心へのアクセスは最高なので、もし次回もこの会場に来る機会があればここを利用したいところ。

部屋は33階(建物は45階建)。エレベーターホールの窓から見下ろすとこんな感じに市内中心部が一望できた。

高さ530mのCTF金融センタービルをはじめ複数の超高層ビル群が見えて壮観。写真では見切れてるけど、さらに左側には高さ610mの広州タワーもある。足元付近の平べったい巨大な建物は中国輸出入商品交易会展示館。毎年春と夏に開催される広州交易会という巨大見本市の会場らしい。ビッグサイトの東館くらいの大きさの建物が3棟あるのが見える。

そして部屋に。ちょっと広すぎないですかねこれ(笑)。会場の近さ優先で1泊8000円くらいの宿を選んだんですが、普段の私の旅で使う宿にしてはちょっと高級すぎました…。

電子レンジやIH調理器、ドラム式洗濯機まであって長期滞在も楽々ですね。

そして、到着初日はしばしの観光…と書こうと思ったけど思ったより長くなりそうなのでここで一旦記事を締めます。

広州市内視察編に続く。